佐藤薫子のマナーコラム



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Kaoruko SATO
プロトコールジャパン㈱創始者

  • 1984年マナーズ&コミュニケーション設立。サロンを主宰するとともに官公庁・企業・学校において
  • 講演、企画提案、コンサルタントにあたる。アメリカ在住時も駐在日本人へのプロトコール指導、
  • NY読売新聞でコラムを連載する。
  • 帰国後は現顧問でプロトコールの第一人者リヒターの思いを忠実に日本で広めるべく活動を続ける。
  • 80年代から日本でプロトコールを伝え続けている草分け。
  • 2001年『Manners Book(インターナショナル エチケット&おもてなしのテーブル)』出版
  • (2004年第2版)。2007年『テーブルコーディネート&おもてなし事典(プロトコール流)』出版
  • 2013年『はじめての国際社交学プロトコール流』出版






佐藤薫子の暮らしに生かす
目からウロコマナー編」

第2回  握手とお辞儀

お辞儀には3つの仕草があり、①会釈は15度位軽く頭をさげ、「こんにちは」「いらっしゃいませ」②30度頭をさげるのは敬礼で、「ようこそ」「ありがとう」「すみません」③45度は最敬礼で、「本当にありがとう」「誠にすみません」の心を形にした合図です。
それと同じように、今や世界中に通じる握手(hand shake)もヨーロッパの長い歴史を経て洗練した型になりました。

2010年、イギリスのマンチェスター大学心理科学部のジョフリー・ビアッティ(Geoffrey Beattie)学部長が「完璧な握手」を極めるためのガイドラインを発表しました。
今更、なぜ何故の思いですが、握手は、もはや国際社会において不可欠なものであり、「相手を評価する」重要な要素だと述べています。

中世の騎士の挨拶から誕生した握手は、必ず相手の目を見て正々堂々としていること、右手で握る武器を捨て、戦いでなく仲間として認める事を、騎士道精神の2本柱としていました。しかし、左手は空けて置き、相手が卑怯な振る舞いをしたときは、肘を抑え防御する手です。

それに比べ、お辞儀は、頭を下げ両手を畳に置く座礼も、両腿に両手を置く立礼も、いずれも無防備な体勢になります。これは、自分の首を差し出して、相手に対し敵意がないことを表わすものといわれています。

同様に、両手を同時に差し出す握手は、最初から相手に無条件で歩み寄るサインになり、西洋では、「おねだりの握手」として嫌われます。身近なところでは、選挙の候補者のほとんどが、両手差出握手です。

この点、オバマ大統領はTPOで空いている左手を相手の右肘や肩に置き、相手をコントロールする点で、ボディランゲージの達人といえるでしょう。日本人としての、美しいお辞儀の仕方も学び、更に、握手のTPOで使い分けるテクニックも必要かと。特に、国際舞台に立つ政治家は「握手から始まる国際コミュニケーション」の意識をどうぞ、お忘れなくご用心のほどをお願い致します。

日本は深く長い文化と歴史の国です。しかし、「顔の見えない日本人」とか、「日本の常識は、海外の非常識」などと、なんと国際的評価に乏しいことでしょう。思うに、私たち日本人は、真の姿を正しく発信する努力と知識に欠けていたに違いありません。

70年代のニューヨ-クをスタートに、何度かの海外生活の中で、内外から見た「愛する母国」と欧米との比較が、私の価値観の一部になっています。一般的な日本人と欧米人の、マナーや価値観などを天秤にかけ、身近なテーマで誌面から「しきたり」と「マナー」の違いや、国際交流に必要なプロトコール・エチケットを、隔月12回シリーズで連載いたします。どうぞ、ご感想など、お寄せ頂ければ幸せです。


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